KKST-0001
入社して間もないひるめし時のこと、
「僕の家、超汚いんすよ」
と雑談の流れでこぼしたら、課の先輩の恭子(きょうこ)さんが、
「何なら、あたしがかたしてやろうか?」
と乗ってきたので、そこそこわくわくしながらお言葉に甘えることにした。何でも、生粋の掃除好きで、ハウスクリーニング検定一級が取りたくて葬祭業から清掃業へ華麗な転身を遂げたことが、あるとかないとか。
約束の土曜日、アパートの自室にて、快活な恭子さんとの爽やかな共同作業をささやかに夢想していると呼び鈴。早速玄関のドアを開けると、グレーのキャップに作業着姿の恭子さん、
といかつい男。
「ちゅっす」
「あえ?」と僕。
「あ。これ?」恭子さん、あっさりと、「旦那」
「えあ?」
全く知らなかった僕が放心する目の前で、その旦那がいきなり、
「っひゅぅ!」
と白目剝いて卒倒した。
「ええええええ!?」僕驚愕。
と同時に壁天井全面で蠢いていたゲジゲジが、一目散に外廊下へ噴き出た。
「ええええええ!?」恭子さんもびっくり。
(※この文章の内容は、フィクションです。趣旨については「はじめに」をご覧ください。)
仮題:げじびより!(Bad day for house centipede)
分類:意外性
作成開始日:二〇一二年十二月九日
作成終了日:二〇一二年十二月十二日
制作時間:一時間半くらい
文字数:四百四十六