tamagome logs

たまごにことだま、こめてめばえる。

2013-02-01から1ヶ月間の記事一覧

KKST-0015

悪友どもと賭けポーカーに興じて笑い転げていたところに、まるごと、張り倒すような怒声が響いた。 「何してるの!」 熱帯夜のテラスが、水を打ったように静まりかえる。 振り返ると、血相を変えた母が、寝間着姿のまま奥の扉からこちらへ身を乗り出していた…

KKST-0014

クミニシフェルト墓地のコテージをひと月借りたぼくは、五月から六月にかけてをそこで、やまいを癒やすためにひとり、静かに過ごした。平屋の小さな建物にはひと坪くらいのウッドデッキが組まれており、日中はもっぱらそこで読みものや書きものを、あるいは…

KKST-0013

白いカウンターテーブルの上、グラスの束から一本、セロリの茎を取り出して小皿のマヨネーズにつけると、日暮(ひぐらし)はそれを深めにかじって、面倒くさそうに頬張りながら、「あ、」 と声を上げた。「新しいギャグを思いついた」 「あ?」隣に座ってい…

KKST-0012

〇無印良品の二〇一三年春夏コーディネート集でファッションを決めて、ワンカット書きます。 ・オーガニックコットンUVカット太ボーダーポロワンピース(三千九百八十円)・コットンサイドファスナーリュック(二千九百八十円)・コーデュロイリボンバレエ…

KKST-0011

新聞を読み終わってソファの脇に畳むと、足下でだらんと寝伏せていた黒いレトリバーがちらり、こちらを伺ってきた。何も言わずに額を撫でたら、その手に鼻をつけて二、三尻尾を振ったものの、それきり、またぺたんと顎を床に置いて、ぼんやりした世界へ沈ん…