tamagome logs

たまごにことだま、こめてめばえる。

KKST-0024

「そこでダニーが、たこ焼きを空中散布したわけー」

「超クール」

 ジェイとアンディはげらげら笑い合った。

「しかもそれ、レーザー出すの。もう避けんの大変」

 ジェイは真っ赤なフロアソファから立ちあがり、投げだされた新聞紙やDVDを蹴散らしながら、冷蔵庫から紙パックの牛乳を出してきて、封を開け、ちゃぶ台のジョッキへ注いだ。

「超ハード」

 アンディはからだをくねらせて笑った。

 紙パックからジョッキへなみなみと牛乳が入った。

 なみなみとなみなみとなみなみとなみなみと入った牛乳は、そのうち、なみなみとなみなみとなみなみとなみなみとジョッキからあふれ出し、しゃばだばしゃばだばしゃばだばしゃばだ、とスナック類で散らかったちゃぶ台一面に広がって、そのまま全方向滝になってこぼれ落ちた。

 鼻歌とともにジェイが牛乳を垂れ流す一部始終を、アンディは、いつの間にかとりつかれたような形相で見届けていた。

(なんという自然かつ至高な防壁展開……! これなら我等聖戦士は……テレビジョンを介し公安の陰謀が配信する……あの有毒電波など攻略したも同然なり……!)

 そういう衝撃を受けながら、夢中で小脇に抱えたボックスティッシュから一枚抜いた。そして一目も見ずに脇へ放った。

 ちり紙がひらり、無軌道に宙を縫って、牛乳浸しになった床へ滑り、しみこんでいくのを待つことなくしゅびどぅばしゅびどぅばしゅびどぅばしゅびどぅば、アンディは、矢継ぎ早にちり紙を抜いて投げて抜いて投げて抜いて投げて抜いて投げた。

 背後に無数のちり紙を乱れ飛ばす彼の姿を目の当たりにしたジェイは、すっかり鼻歌をやめ、電撃的な感動の余り、呆然としてしまった。

(超、ウィンウィン……!)

 

(※この文章の内容は、フィクションです。趣旨については「はじめに」をご覧ください。)

 仮題:そういうわけー
 分類:勢いで
 作成開始日:二〇一三年五月一日
 作成終了日:二〇一三年五月一日
 制作時間:一時間ちょっと
 文字数:七百二十二